top of page

上海財経大学との特別研究セミナーが開催されました


開催期間: 2025年6月10日(火)~15日(日)

場所: 専修大学 山中湖セミナーハウス・生田キャンパス、東京都内各所

参加者: 上海財経大学財税投資学院 教員・学生15名、専修大学教員・学生10名


プログラム概要

  • 6月10日-12日 山中湖セミナーハウスでの学術交流・歓迎行事

  • 6月13日 実地研修(日本銀行貨幣博物館・国税庁税務大学校見学)

  • 6月14日-15日 専修大学生田キャンパスでの国際比較研究・学術討論・総括


活動報告

2025年6月10日から15日まで、上海財経大学財税投資学院税務修士課程の教員・学生一行15名をお迎えし、6日間にわたる充実した学術交流プログラムを実施いたしました。本交流は、両大学の財政学・税制研究における学術協力をさらに深化させることを目的とし、理論研究と実践的学習を組み合わせた多角的なアプローチで実施されました。

今回の交流プログラムでは、山中湖セミナーハウスでの集中的な学術討論から始まり、東京都内の専門機関での実地研修、生田キャンパスでの国際比較研究まで、財政学・税制を中心とした包括的な学術討論と日本の財政制度・文化体験を通じて、極めて実りある国際学術交流を実現する

ことができました。

こ

山中湖セミナーハウスでの学術交流

6月10日から12日までの3日間、研学プログラムの出発点となった専修大学山中湖セミナーハウスにおいて、本格的な学術交流活動を開始いたしました。富士山麓の静寂な環境の中で、参加者全員が学術研究に集中できる理想的な環境が整えられました。

到着初日の夜には、両大学の学生による歓迎交流会を開催し、各自の研究テーマや学習経験について活発な意見交換が行われました。

山中湖セミナーハウスでの歓迎交流会の様子
山中湖セミナーハウスでの歓迎交流会の様子

翌6月11日には、本学経済学部の徐一睿教授による基調講演行われました。日本における「シルバー民主主義」現象が引き起こす世代間格差問題とその財政政策への影響について詳細な分析が行われました。特に、選挙における高齢者の投票率の高さが政策決定に与える影響、社会保障費の増大が若年世代に与える負担、世代間公平性を確保するための制度改革の必要性について、事例を用いた説明が行われました。

最終日となる6月12日には、川島正次郎先生記念館の見学を実施いたしました。川島先生は専修大学の財政学発展における重要な人物であり、特に、戦後復興期における財政政策の役割や、高度経済成長期の税制改革における川島先生の貢献について、現代の財政課題との関連性を踏まえながら理解を深めました。

専修大学山中湖セミナーハウス研修きねn
専修大学山中湖セミナーハウス研修きねn

博物館と専門機関見学

6月13日には、財政・金融制度に関する実地研修を実施いたしました。この日は理論学習から実践的な制度理解への橋渡しとなる重要な機会として位置づけられ、参加者の学習意欲も非常に高いものでした。

午前中は日本銀行貨幣博物館を訪問し、日本の貨幣制度の歴史的変遷について詳細な学習を行いました。古代の物々交換時代から、金属貨幣、紙幣、そして現代のデジタル通貨に至るまでの発展過程を通じて、経済発展と金融制度の相互関係について理解を深めました。特に、明治維新後の近代的貨幣制度の導入、戦後のブレトンウッズ体制下での為替制度、1971年のニクソンショック後の変動相場制移行などの歴史的転換点について、詳細な解説を受けました。

日本銀行貨幣博物館での貨幣制度学習
日本銀行貨幣博物館での貨幣制度学習

午後には国税庁税務大学校を訪問し、日本の税制史と現代税制の特徴について専門的な研修を受けました。税務大学校は税務職員の研修機関として設立された専門機関であり、その展示施設では明治維新以降の日本の税制改革の変遷が詳細に紹介されています。

研修では、明治初期の地租改正から始まり、大正期の所得税導入、戦時中の臨時税制、戦後のシャウプ勧告による税制改革、高度経済成長期の税制調整、バブル経済期とその崩壊後の税制対応、そして現代のデジタル経済への対応まで、各時代の社会経済情勢と税制改革の関係について全体的な説明が行われました。

国税庁税務大学校での税制史研修
国税庁税務大学校での税制史研修

専修大学生田キャンパスでの国際比較研究と学術討論

6月15日では、生田キャンパスにおいて国際比較財政学をテーマとした集中的な学術討論を実施いたしました。この期間は、前半で得た知識と経験を踏まえ、より高度な学術的議論を展開する場として設定されました。

まず専門家による特別講演を開催いたしました。明治大学の倉地真太郎教授による「少子化時代の税制改革—日本とデンマーク」では、北欧型福祉国家モデルと日本の社会保障制度の比較分析が行われました。デンマークの高負担・高福祉モデルの特徴、家族政策と税制の統合的設計、ジェンダー平等政策と少子化対策の関連性について詳細な検討が行われました。特に、育児休業制度と税制上の優遇措置の組み合わせ、女性の労働参加促進策、世代間格差の是正方法などについて、具体的な制度設計と政策効果の分析が提示されました。

明治大学倉地真太郎教授による特別講演
明治大学倉地真太郎教授による特別講演

続いては、東京経済大学の佐藤一光教授による「少子化問題と税制—日本とドイツを事例にして」の講演が行われました。ドイツの連邦制度における財政調整システム、家族政策と税制の連携、移民政策と社会保障制度の関係などについて分析が提示されました。特に、地方財政調整制度の特徴などについて、日本の制度との比較を通じて詳細な検討が行われました。

両講演後には、日中の学生による分組討論を実施し、各国の社会保障制度の特徴、少子高齢化への対応策、税制改革の方向性について活発な意見交換が行われました。

東京経済大学佐藤一光教授による特別講演
東京経済大学佐藤一光教授による特別講演

総括と今後の展望

6月15日の最終日には、6日間の交流プログラムの総括を行いました。参加者全員による振り返りでは、理論学習と実践的経験の組み合わせによる学習効果の高さ、国際比較の視点の重要性、研究者としての国際的ネットワーク構築の意義などについて、多くの貴重な感想が共有されました。

本交流プログラムを通じて、財政学・税制研究における国際的視野の重要性を改めて確認するとともに、両大学間の学術協力関係をより一層発展させる確固たる基盤を築くことができました。特に、高齢化社会における財政政策、デジタル経済時代の課税制度、国際的な税制協調、持続可能な社会保障制度の設計などの現代的課題について、両国の研究者・学生が共通の問題意識を持って取り組む重要性が再認識されました。


謝辞

上海財経大学財税投資学院の教員・学生の皆様には、今回の交流において極めて熱心かつ積極的にご参加いただき、貴重な研究発表と建設的な議論を通じて、本研究会の学術的水準向上に大きく貢献していただきました。また、ご多忙の中、特別講演をお引き受けいただいた明治大学の倉地真太郎教授、東京経済大学の佐藤一光教授に心より感謝申し上げます。

さらに、見学を受け入れていただいた日本銀行貨幣博物館、国税庁税務大学校の関係者の皆様、そして本交流プログラムの企画・運営にご協力いただいた日中財政研究会関係者、専修大学の教職員の皆様に深く感謝いたします。

今回の成功を基盤として、日中両国の財政学・税制研究のさらなる発展と、両国の学術交流の一層の深化に向けて、継続的な努力を重ねてまいります。


<研究会のさらに詳細な情報は研究会事務局 (jcpublicfinance@gmail.com)までご連絡ください>

 
 
 

コメント


日中財政

​研究会

〒214-0033 神奈川県川崎市多摩区東三田2丁目1−1 3619

  jcpublicfinance@gmail.com | Tel: 070-2161-3027

Copyright©2025 Japan-China Public Finance Research Association All Rights Reserved.

bottom of page